院長コラム
正月雑感 年々正月の風情が薄くなっている 。 私が子供だった昭和の頃には 大みそかの除夜の鐘で1年を振り返り、正月三が日は商店も閉まり街中が静かで何か厳粛な風が流れていたように思う。 初詣に出かける人々は新しい服に着替え、髪を結い和服で歩く女性も目立った。 「そんな古いものはすべてなくして欧米のようにすれば良い。グローバル化が重要だ」 私はそんな単純な気持になれない。「 伝統の絆を残したい 」という自然な感情が私の体の中に潜んでいる。 自分たちのご先祖の思いが残っているのであろう 。 ヒトは父、母の両親から生まれる。父、母にも両親がある 。この命の連鎖をさかのぼって行けば2世代前は2の2乗で 4人 、4世代前は2の4乗で16人の先祖が存在する 。25世代前になると2の25乗で実に33,554,432人、30世代前になると2の30乗で10億人を超える計算となる 。重なるご先祖が存在するので 、単純に計算した先祖数より少なくなるのは当然だが 、江戸時代の人口が3,000万人程度と言われていることを考えると日本人は皆同じご先祖を持っているのだ 。 自分たちに共通した文化伝統を守る日本人の遺伝子がすべての人に受け継がれていると考えても良いのではないだろうか 。皆兄弟なのだ。数えきれないほど多くのご先祖の意向を無視して現世の人間が文化伝統を破壊する権利はないと私は感じている。 正月になれば神社に初詣にゆく 。お節料理、お雑煮を食べる。そんな何気ないことを絶やすことなく守っていく必要があるだろう 。ご先祖から受け継いだパワーに背中を押され、今年も寝正月ではなく近くの神社にでも参拝をしようと思っている 。 |