院長コラム
グローバリズムの終焉
人生を振り返る時、入学、結婚など過去のある出来事が大きな転換点だったことに後々気付くことがある。国家も同様だ。日本の近現代史において、鎖国で平和な我が国に帝国主義侵略の足音が近づいて来る。164年前のペリーの来航は大きな第1の転換点であった。東洋では既にインド、インドシナは英国の植民地であり、ベトナムはフランス、インドネシアはオランダ、フィリピンはアメリカの植民地に帰していた.シナ大陸は分断され、清国の支配領域はわずかとなり、独立を何とか保つのみであった。北からはロシアが沿海州、満州を侵略し、太平の眠りから覚めたばかりのわが国も植民地化される風前の灯であったと言えよう。その後幾多の変遷を経て72年前、圧倒的な物量でアメリカに敗北し終戦となるが、この戦いを契機に帝国主義は終焉し他国を植民地化する世界状況は失われた。第2の転換点であった。日本は植民地化を免れ、サンフランシスコ講和条約で独立を果たした。その後の世界は一変する。 西欧の支配者諸国は衰退し、アジア、アフリカの植民地も次々と独立を果たすことになる。 戦後、ナショナリズムと同時に次第にグローバリズムの概念が広がり、貿易交流の活発化で世界の繁栄につながる。しかし、グローバル化の恩典は一部の国際金融資本、世界企業、独裁国の支配者層に富の集中をもたらした。グローバル化がもたらす不正に対する規制は遅れ、タックスヘイブンのような税金逃れも見過ごされ格差社会が増大していく。働く者が貧しく、働かない者が富裕化する事への反発がアメリカの革命的変革となり、トランプ次期大統領出現に繋がったと言われる。資本主義は多数の人々を利する制度にしなければならないのだ。 今年1月20日トランプ大統領が誕生する。70年後に今年を振り返った時、世界の大きな転換点だったと言われるだろう。日本にとって第3の転換点となるだろう。グローバリズムからナショナリズムへ転換する世界の流れにどのように対処するか? 我々には正しい情報を広く集め、賢明に対応することが求められている。 |