院長コラム
瀬戸内海の魚の漁獲量が激減している。
(昭和61年 49万トン → 平成25年 17万トン) 赤潮発生が多かった昭和50年代には漁獲高が多く、瀬戸内海は 肥沃な豊饒の海であった。環境規制を厳しくして水を綺麗にした結果、不毛の海に変わろうとしている。 瀬戸内海の海水中の栄養水質の改善が漁獲高の減少と相関しているように思われる。 以前、赤潮で死んだ養殖魚の姿を何度も見せられ、私は「赤潮」即ち悪と短絡に考えていた。 「きれいな水に魚が住みにくい」と聞けば「白河の 清きに魚も 住みかねて もとの濁りの 田沼恋しき」という狂歌を思い出す。江戸時代、緊縮財政で「寛政の改革」を行った松平定信の世を風刺したものだ。 ここでも「田沼意次=賄賂政治家」と信じていたが、進んだ経済政策を行い、幕府財政の貨幣収入の道を開いた田沼の業績を再評価する意見もある。世界にも、同じ過ちが溢れているのではないだろうか? 湾岸戦争でイラクのフセイン大統領を単純に悪玉で仕立てていた。しかし、クウェート侵攻の本質は知らない。重油で汚染された海鳥、ライフル銃をぶっぱなす映像を見れば悪玉説は確信に変わる。が---- 「大量破壊兵器は存在しない」、「汚染映像はねつ造らしい」のだから、誰かにうまく騙されたのかも知れない。西洋列強が勝手に作った国境を越えアラブ全体に広がるバアス党(アラブ社会主義復興党)の存在を知るとイスラム国(IS)はテロ集団との短絡思考は単純すぎるように思える。十字軍とイスラム世界との争いの再現と認識される日が来るかも知れない。世の中には表の事実があれば裏の事実もあることを十分に認識する必要があるだろう。自分好みの偏った情報収集では本質を見誤ることになる。 過去一年に積もったメガネの汚れをすっきり磨き、新年はきれいになった左の目と右の目を使って先を見通し正しい判断を下したいと思う。 |